番外編.午後 の 紅茶

「陛下♥どちらにお出かけですか?」
ドアを開けて目に入ったのは引き攣った笑顔の陛下。その陛下は何やら窓の格子に足を架けている。
「まさかとは思いますが、執務を放り出してどこかへお出かけではありませんよねぇ?」
硬直している陛下を横目で見ながら部屋の真ん中にあるテーブルに持ってきた紅茶を置いて、椅子に腰掛ける。
「あらあらあらあら、サフィール。あなたいい頃具合ねぇ。ソテーになりたい?それともステーキ?」
足元に寄ってきたサフィールを撫でながら話しかける。
「ん?丸焼き?まぁ、大胆ね。大丈夫よ、おいしく頂くからね。」
「ままままま、待て!早まるな、!おおおおお、落ち着いて話し合いを…ッ!」
サフィールの鼻水を拭いて抱きかかえると、慌てて走り寄ってきた。
「あら陛下。お出かけでは?」
「…お前ジェイドに似てきたよな…、昔はあんなに…!あんなに可愛く『にいさま♥』って…!」
「記憶を捏造しないでください。それにジェイド…って…、酷過ぎます。」
の方が酷いと思うぞ」
陛下はちゃっかりサフィールを自分の元に抱き寄せた。私が拭き損ねた鼻水が垂れている。
「それに、今はお仕事中じゃないですか。陛下。」
「…2人でいるときはいいだろうが。」
それがあまりにも寂しそうで私は思わず「2人の時は、ね。」と答えてしまった。いつも最終的には頷いてしまうのだが。結局、昔から兄には敵わない。
「でも、ちゃんと仕事しないと『陛下』って常に呼ぶからね!」
「はいはい」

TOP