シロクロだった世界が一気に鮮やかに色付いていく。
ああ、どうして!
嘲笑にも似た笑みが零れる。
どうして、忘れていたのだろう。溢れ出す記憶と感情は止め処無く、あの方の血液が私の中で蠢くのが嬉しくてたまらない。
今までわからなかったこと、腑に落ちないことがストンと落ち着いていく。

だけど、その反面。

この先待ち受けるものを思うと怒りが支配する。奥歯をギリと噛んだ。
窓の外は夜が広がっている。私たちの時間。

私がすべきことを今度こそ果たすべく、ベッドに体を沈め天蓋を仰ぎながら思案に浸る。


手に入れた罪の温度


「遅れてやってくる編入生か…か、ミステリアスだね…犯罪の匂いがする」

「昨日読んだ本の話?」

「いや本当にくるんだって編入生が」

芝居がかった拓麻に冷静な反応を返しながら、英のお菓子を一気に食べる支葵。

「あーっっ!僕のポッキンチョコ!!玖蘭寮長にもあげようと思ってたのに」

「英うーるーさーいー!そもそも枢さんはそんなもの食べないわよ。」

「な、なんだと!」

ツンと私が答えれば英はそれに食いつく。見えない火花が散ったその瞬間、

「楽しそうなクラスでよかった…」

クスクス、という笑い声とともにいつの間にか教卓に腰を降ろしている見慣れる存在。

「ねぇ、”授業”はまだ始まらないの?」

枢さんは読んでいた本を閉じて、ちらりと私を一瞥した。なるほど、彼女が例の編入生らしい。
傍観していると、「彼女」は英に威圧的に近寄りそれを制した枢さんの手を取った。

「ああ…!純血の方にお逢いできるなんてまり亜うれしい…!」

その様子に瑠佳を始め何人かが反応を示し、教室の空気は一気に下がった。
彼女が教室から出て行ってからも空気は下がったままで、特に枢さま命!と言っても過言ではない瑠佳と英は明らかに機嫌を悪くしたままで、その日の授業は終わりを告げた。

少しずつ、けれど確実に回り始める歯車。

(あ、名前変換がない。)