ハロー、マイディア


「手が冷たいですよ?」
ナナリーは首を傾げて、少し上を見上げる。彼女の手は私より小さくて柔らかくて、温かい。私は膝を付いて、彼女の目線に合わせる。
「ナナリーはあったかいね」
さんが冷たすぎるんですよ、少し休憩しませんか?」
私は返事をする代わりにナナリーの頭を撫でた。


紅茶を一口飲んで、溜息にも似た息を吐く。


「スザクさんにはお会いしましたか?」
遠慮がちに紡がれる言葉。
「…まだ会ってない」
嗅覚を擽るほんのり甘いミルクの匂い。立ち上るのは温かい湯気。
「スザクは、元気だった?」
久しぶりに言葉にする懐かしい人の名は、柔らかく傷に浸透していく。そして、じわりと滲みこんでチクリと傷を抉る。
「ご自分で確かめればいいのに」
「それが出来たら聞かないわ」
窓から温かな光が差し込んでいる。緑なる木の枝にとまった小鳥は自由を唄っている。
「スザクさん、心配していました」
「え?」
「おにいさまにさんのこと聞いていました」
ナナリーはふんわり微笑う。
の様子が最近ちょっと変だけど、何かあったの、って」
「ルルはなんて?」
「自分で確かめろ、って」
私はきょとん、と言葉を発するのを忘れてしまったかのように呆けた。

「スザクさんもやっぱりさんのこと好きなんですね」

ナナリーにそう云われた瞬間、年甲斐もなく頬が熱をもっていくのが分かった。




我が最愛なるひと