押し返しても所詮女の力、敵うわけも無く難なく止められる。それが悔しくってアイツの胸を叩くけど、終いには叩く隙間さえ与えないように引き寄せられた。息が苦しくて、力も入らない。絶え間なく続けられるその行為を、ただぼんやり、何も考えずに繰り返す。

「…ッ」

切ないその声で引き戻される現実。

「…ッ、れん…、」

呼応するように名前を紡ぐ。たけど、応えるにも言葉にならない。その声が、息継ぎの声が、妙に厭らしくて、酔いそうだ。この空気にも。うっすらと目を開けると、恋次の顔が瞳に写る。だけど、その表情を見て思わず目を閉じた。心臓の脈が速くなるのが嫌でも分かった。恋次に聞こえるのが、悔しくて少し身体を離そうとするけど、やっぱり敵わない。

「…ッ、はぁ…ん、」

時折漏れる声が、さらに高みへと誘う。











「…恋次っていつも思うけど、しつこい」

「あぁ?」

乱れた衣服を整えようと上体を起す。ズキと鈍い痛みが腰に走ってまた布団に潜った。私の言葉にカチンときたのか、凄まれた。ついでに言うと、跨れている。

「俺のどこがしつこいって?」

「…ちょっ、と!」

わざと耳元に口を寄せて喋る恋次、を一睨みする。効果はないけれど。

「ねー、恋次ー」

「んだよ」

手を伸ばして恋次の髪を弄ると、目を細めた。…、猫みたい。

「好き、だよ?」


また、口付けが降ってきた。




彼女 ファムファタル