いくらあなたの名前を呼んでも振り向いてくれず

 走っても走ってもあなたに追いつかない

 わたし達の距離は離れていくばかりだった




 



 弓親の腕の中で泣いていた

 最近、悲しい夢ばかり見る

 胸が張り裂けそうな程悲しくて

 だけどそれは夢で、目を開けると弓親の腕に包まれている



 「また悲しい夢での見たのかい?」

 こくこく、と無言で頷く

 彼は私の髪を撫でて落ち着かせてくれる


 「弓親がね、遠くに行っちゃう夢…見たの」

 ポツリポツリ呟くように言う言葉を弓親は拾ってくれる



 
 「僕が遠くへ?」

 「呼んでも追いかけても弓親は遠くへ行くの」


 彼を見上げるといつものように優しく笑っていて

 それを見て私は安心するんだ


 「僕がを残して遠くに行くと思う?」


 そんなの、分からないじゃない


 「僕はを一人きりになんてさせないよ」

 「本当に?」

 「僕が約束護らなかったことあるかい?」

 「…ない」

 「だろう?」

 満足そうに微笑んで私は弓親の温もりを感じる

 あなたの腕の温もりを知ってしまったから

 もう戻れない

 あなたのいない人生なんて送れない


 「弓親」

 「なんだい?」

 「大好き」

 そう紡げば彼は一層腕の力を強くして私を抱きしめる


 




 もう、涙は渇いた。