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「あー、銀八先生だー」 「相変らず煙草吸ってる…、校内禁煙じゃなかった?」 「だって、煙草は銀八先生のトレードマークだもん。無くなったら誰か分かんないって」 「あははは!それはちょっと言えてるかもー!」 放課後、夕日の差し込む教室でお菓子を広げて他愛も無い雑談に花を咲かす。窓の外を偶然歩いていた銀八先生。教師とは思えない言動の数々は校内では有名だ。けれど、何故か人気があって生徒からも意外に頼りにされていたりする。 「でもさ、銀八先生ってアレでしょ?」 「アレって…?」 「あぁ、アレね」 二人で視線を合わせてうんうん、と首を縦に振っている。私はその意味が分からなくて一人話題についていけない。 「生徒喰ってるらしいよー」 声のトーンを落として私たちにしか聞こえないように、囁いた。 私は一瞬意味が分からなかった。「喰ってる?」脳みそをフル回転させて、やっと分かった。 「らしいよね、結構ウワサだよ?知らないの?相変らずウワサに疎いねー」 「一言余計!」 「やっぱZ組の生徒なのかな」 「自分のクラスは喰わないでしょ?後々めんどそう。他のクラスのチャラチャラしたやつじゃない?」 「あぁ、後腐れが無いように、ね」 「そうそう」 「ていうか、聞いたことないよ。そんなの」 「は疎いからね」 二人ともニヤリと笑う。私はひーどーいーといいながら残りのポテチを全部食べてやった。ふふん、ざまーみろ! 夕日も翳ってきた。カバンに入れてたケータイが早く出ろ、と急かすように震えていた。 「誰?彼氏?」 ニヤニヤしながら私のケータイを覗き込む。二人に見えないようにケータイを隠しながら返信を打った。 「さて、じゃあ私帰るねー!」 「はいはい、明日ねー」 「襲うなよ!」 「私は襲われる方!」 カバンを掴んで「バイバイ」と手を振って教室を出る。放課後の廊下を一人で歩くと思いのほか足音が響く。 「あらヤだ、この子!ケータイ見ながら一人でニヤニヤしてー」 階段の角に腰かけてたのは渦中のあの人。 「ビックリした…」 不意に視界に入ってきた銀八先生に少しだけビックリした。思わず呟くと先生にニタァと笑って 「メール、送ったでしょ?」 「待ってるなんて、書いてなかった」 少し不貞腐れたように、頬を膨らませる 「でも来たじゃん」 勝ち誇ったように笑うから悔しくて思わずカバンで殴った。 「こんなとこで、話しててもいいの?」 誰かに、見られたら… 「じゃ、帰るか。二人の愛の巣に」 思わず噴出した 「ねえ、せんせー」 「ん?」 「今日、先生の話してたんだよ」 「いい男だよねー、ってか?」 「まさか!」 「ちゃんそんな全力で否定しなくても…」 「あのね、銀八先生って生徒喰ってるらしいよ、って」 間違ってないね、と笑うと先生も笑った。微かに先生の煙草の匂いが鼻を掠める 「そんじゃあ、ウワサ通りにを喰わなきゃな」 銀八先生は煙草の火を消した。そして、二人で空き教室に雪崩れ込む。 秘密の放課後 (070307) |