からん、と鈍い音を立てて手から滑り落ちた木刀。信じられないようなもの見る、お兄ちゃんの驚いている瞳。込み上げる罪悪感。感情が一気に渦巻いて私を支配する。どうすればいい。どうすれば、いいのか分からない。

「お、お兄ちゃん…」

自業自得じゃないか。自分で撒いた種がどういう結果を招いていつか自分に返ってくるなんて分かりきっていた。そう分かっていた。けれど、自分のことで精一杯で自分の考えを正当化して誤魔化していたに過ぎない。

「お兄ちゃん…」

もう一度呟くと、空気にヒビが入ったように何かが崩れた。

「今まで黙っててごめんなさい、私…」

あぁ、どうしてだろう。泣きたくなんかないのに涙が出てくる。

「私、ね…、お兄ちゃんの役に立ちたかった、」

最初は、ただそれだけだった。だけど、江戸に出てきて自分の無力さを思い知った。私は護られるだけの存在で、お兄ちゃんたちにとっては重荷でしかないと思った。だから、役に立ちたくて、役に立ちたくて、それだけだった。

「…、」



優しい声が上から降ってくる。

「まめが潰れてる、こんなになるまで、お前は…」

そっと近づいて私の手を握った。お兄ちゃんの手はすごく暖かかった。

「頑張ったんだな」


が選んだ道だ、それなら俺は反対はしない。ただ、妹だからといってお前を甘やかすことも局長として出来ない。それでもお前は隊士としてここにいるのか?」

私は首を縦に振った。




この に誓います、




決して逃げないことを



(2007.01.10)