隔離された空間、閉ざされた世界、真っ白な部屋には温かみなんて何もなくてただ規律正しい機会音だけがが生きている証で、何の音もない部屋に響いている。そんな無機質な音でさえ愛しいと感じてしまう。俺は壊れてしまったのだろうか。お前は本当に目覚めないのか。そんな疑問を抱いてしまうほど、部屋の中央でたくさんの管につながれて眠るは安らかに、ただ眠っているだけに見える。そっと頬に触れると外気に晒されてひんやりとしていて、だけど確かに温かいんだ。なのに、どうして君は眠りから覚めないんだ。

あぁ、どうして

後悔の念は尽きることなく押し寄せる

ベッドの横に備え付けてある椅子に腰掛けて、彼女を見つめる。少し髪が伸びただろうか。最後に見たときにはもう少し短かった気がする。ほんの少し前、いや、もっと前かもしれない、彼女が深い眠りについてしまったのは。いつ目覚めるかも分からない。明日、明後日1年後?2年後、もう目覚めないかもしれない。
力ない手を握る。白く透き通るように美しい手。君は握り返してはくれない。誕生日プレゼントに送った左手に輝くリングにそっと口付けて祈る。日常と化したこの動作が身についてしまうほどに、彼女は眠り続けている。
夢を、見ているのだろうか。
楽しい夢を見ているといい。そして俺が夢の中で君の隣にいればいい。そう願うことしか出来ないけれど。

分かっている。すべては俺が悪いんだ。

寂しい思いをさせているに、せめて誕生日だけでも一緒に過ごしたかった。そんなおれのエゴイズムの所為では乗るはずの無かった電車には乗って、事故に巻き込まれた。痛かっただろう、恐かっただろう、苦しかっただろう。そんな思いをさせたのは全て俺なんだ。許されるとは思っていない。許されようとも思っていない。だけどせめて償いだけはさせてくれ。君が望むままに

が目覚めるのならば俺は何だってする。

だから、どうか、もう一度笑って俺の名を呼んでくれないか。


…」


空虚な呪文のように聞こえる君の名。

その声は、君に届くことなく、消えた。