「あれ…?」
綺麗な女の人と目が合って、そして
「お妙ちゃん?」


さくら さくら さくら U



ちゃん!なんでこんなむさい男たちしかもゴリラなんかと一緒にいるの?」
就職先は動物園?と絶叫に近い声を上げてお妙ちゃんは私の袖を引っ張って半ば強制的に隣に座らせた。
「えっと言ってなかったけ?私局長とは兄妹…」
「なんてわけないわよね!?」
お妙ちゃんによって私の声はかき消された。ついでに言うと、当の本人のお兄ちゃんはお妙ちゃんの向こう側で伸びている。
「えーっと…」
あははは、と乾いた声で笑う。
「で、コイツとはどういう関係なんだ?」
トシさんが後ろからすこし怒ったような口調で問う。
「嫌だなァ、土方さん。ボケちまったんですかィ?は俺の嫁でさァ」
「テメーには聞いてねェんだよ!!!」
コホンと咳払いをして、トシさんが無言で睨む。
「えっと、トシさん前話したでしょ?あっと、朝使わせてもらってる…」
いくらお兄ちゃんが伸びているとは言え、大きい声で言えることではない。少しトーンを落として言うと、トシさんもピンと来たらしい。
「なるほどな」
そう呟いて頷いていた。隣にいる総ちゃんは少し目を細めて、トシさんを見ていた。その目がいつもの総ちゃんみたいじゃなくて少し驚いた。
「ていうかさ、君たち主人公である俺を無視するなんて酷くない?ねぇ酷くない?」
「銀さん自分で主人公とかほざいてる時点で主人公失格ですよ」
白髪の天パ(トシさん談)に眼鏡のまじめそうな男の子がさらに追い討ちを掛けてる。
「よし!ちゃん!こうなったら愛の逃避行だ!」
「わ、ちょ、え?」
右手をしっかり握られて、思いっきり見つめられる。しかも近い。
「テメェ!コイツに手出すなって言ったばっかだろがー!」
「ったく、どいつもこいつも花見だってのになァ」
総ちゃんはそんな科白とは裏腹にバズーカを構えてる。
「お前が一番危ねェんだよ!」
まったく、と総ちゃんはそれらしくため息をついた。そして一呼吸おいて、
「ここはひとつ花見らしく決着つけましょーや、

第1回陣地争奪・・・叩いてかぶってジャンケンポン大会ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」




「退さん…、なんでこんなことになったんだっけ?」

目の前で繰り広げられる人間業とは思えない技の数々。お兄ちゃんはお妙ちゃんにボッコボコに殴られてまた伸びてるし、総ちゃんは総ちゃんで殴り合いをしてる。しかも女の子と!唯一常識人の退さんの横に移動して、その騒動を客観的に観察してみる。

ちゃん!こっちおいでー」
と明らかによっている銀さん(そう呼んでとお願いされた)が手招きをする。どうしようと迷っているとスっと手が伸びてきて、引っ張られた。引っ張ったのはトシさんで、トシさんの横に座らされた。さっきの男の人とは反対側に
「大串くん、人の恋路を邪魔して楽しいわけ?」
「何が恋路だ!テメェなんかにをやれるかァ!」
「父親みたいなこと言ってっと嫌われるよ?お父さんと一緒に外歩きたくなーいって」
「テメェ!!!上等だ!コラァァァ!」
新しいお酒を開けて、また飲み比べが再開された。
このままここにいると厄介ごとに巻き込まれそうだったので、そろーっと退さんの横に戻った。
「お疲れさま」
退さんが苦笑いをして、周りを見渡す。トシさんと銀さんは真剣で斬り合いを始めたかと思うとトシさんは大きい犬とジャンケンをしてるし、銀さんはその辺の木を斬っていた。
「ねぇ、退さん」
「ん?」
「楽しいね」
「そうですね」
二人でニッコリ笑ってお弁当を広げた



(060927)