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例えば急に訪れる静寂であったり、しとしとと降り続く雨であったり、電気のついていない真っ暗な部屋に帰ったときのあの感覚。まるで世界に自分一人しかいない、取り残されたような寂しさ。そうして時々、胸が潰れそうになる。寂しくて、恋しくて、苦しくて。この部屋には佇む私しかいない。寂しさを紛らわす術なんて知らないし、持ってない。君が残したものは全て過去へと流れ、もう二度と手にすることは出来ないんだと言い聞かせる。そして、今日も君が居ない絶望を胸に抱き悲観に暮れながらただひたすらに涙を流す。 ようやく沈静化した天人との戦争も、掘り起こせば流し流され参加した。剣術なんて小さい頃に一振り二振り習っただけのわたしが。取り柄なんて特にないわたしの面倒を見てくれたのは少し年上の兄貴的な存在の彼だった。気がつけば戦争は終結し、みんな散り散り離れ離れになった。もちろん、彼も。元より仲間意識が強かったわけでもないわたしたちは戦争が終わっても一緒に居るほどの関係ではなくて、それぞれの道に進んだ。誰にも縋ることなんて出来なくて、世界に取り残された気がした。 「だから言ったんだ、テメェに戦争は向いちゃいねェ」 居場所をなくして、路地裏を彷徨っているわたしの手を引いたのは眉間に皺を寄せながら派手な女物の着物を着た「攘夷浪士の中で最も危険で過激な男」高杉晋助でありわたしの面倒を良く見てくれた彼。 「死にてェのなら、俺が殺してやる」 生気を無くした瞳に殺気が満ちた瞳が映る。 「…どうして、」 人気のない道を進むと萎びれた小屋があった。今にも潰れそうな小さな小屋。手を引かれてそこに入りランプに明かりを灯す。揺れる明かりに影が大きく写り、心理状態を表すように大きく揺れた。 「戦争が終わったらどうして急に普通の生活に戻れるの…?」 「これが普通か?」 ニヤっと笑って着せるに火をつけた。 「今まで散々人を殺したのに、なのに、どうして」 「テメェには戦争なんざ向いてねェんだ」 最初の言葉を繰り返す。わたしを諭すようにゆっくりと。 「銀時の居場所を教えてやる。そこに行け」 「やだ、晋助さんのところにいる」 縋るように晋助さんの腕にしがみついたのに、目をこちらに向けることもなく彼は立ち上がった 「幸せになれ、」 それだけ言い残して去った言った。 残ったのは彼がほんの少し前まで吸っていた煙管の匂いと私に残された本の少しの彼の温もりだけ。一陣の風が吹いてランプの明かりが消えた。そうまるで、わたしの命の灯火まで消えてしまったかのようにあのときから私の時計は動かない。 あなたを思ってわたしは今日も月夜の下で泣いています だから、いつかわたしを迎えに来てください かなしいまでに、あいして います (それはずっと変わることの無い真実) (060917) |