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傷口を消毒して包帯を巻く。涙が込み上げてくるのを必死に我慢して、ただひたすらお兄ちゃんが目を開けることだけを願った。 決意を秘めて お兄ちゃんが寝かされている布団の脇に座って、ずっと顔を覗き込んでいた。その顔は苦痛に歪んでいるようにも見えて、私は額に浮かぶ汗を拭ってあげることしか出来ない。困惑した隊士たちの不満の声。そんな隊士を諭すような宥めるように、トシさんが話し出す。 「・・・幕府でも将軍でもねェ、俺の大将はあの頃から近藤さんだけだよ」 その言葉が、胸に深く刻み込まれた意思を呼び起こすように滲み込んだ。 私は何のためにここにいるのか どうして兄の側にいると決めたのか なぜ剣を捨てなかったのか。 必死に何かを護ろうとする兄を見て、私はそれが崩れないように内側を護ると誓った。苦しいことも悲しいことも全てを分かち合うために、私はここにいる。私の存在理由は兄であり、それ以下でも以上でもない。 決意を秘めたような私の瞳を総ちゃんは覗き込むように見て、それから何を言うでもなく立ち上がり私の頭にぽん、と手を置き部屋を出た。残されたのは、私とお兄ちゃんだけ。薄く目を開き、徐々に意識を取り戻したお兄ちゃんはすくっと上半身を起こした。反動で少し痛みが走ったのか肩をおもむろに抑えた。 「お兄ちゃん…」 支えるように手を添えた。そして、そのまま立ち上がり庭に出ると剣を構えるトシさんと総ちゃんを見つけた。 「トシと総悟に遅れをとるなァァァ! バカガエルを護れーッ!」 隣で声を張り上げる兄を見て、拳を強く握った。 (060818) |