日が昇ると朝日が入り込む。眩しくて、今日は非番なのに と内心毒づいて体を起こした。真撰組に身を置いているとは言え、わたしはどの隊には所属していない。つまり、事務職を専門としている。各自の書類に目を通してたり、期日までに終わりそうにない書類を手伝ったり。各隊のフォローはもちろんのこと、だけどテロが起きればわたしだって剣を抜くことだってある。普通の女の子じゃなくなったのはもう随分前の話。
寝癖が付いている髪を梳かして、朝食を食べる。
いつもより遅い食事なので一人で食べていると後ろから眠たそうな声が掛かった。
「あれー、今日は起きるの遅いんじゃないですかィ?」
アイマスクを握り、眠たそうに目を擦っている
「今日は非番なの」
朝食のスクランブルエッグを食べながら、得意に言う。
「じゃァ、俺も非番でさァ」
「総悟は非番じゃないでしょ。そんなこと言っていると土方さんにまた怒られるよ」
「その前に抹殺するんで問題ねェや」
バズーカを構える総悟に軽く眩暈を覚える。というかそれ以前に総悟が殺す前にマヨの食べ過ぎと肺が黒くなりすぎて死ぬんじゃないかと思ったのは秘密だ。
「そしたらは副長補佐として俺直属の部下でさァ」
何が楽しいのか、ニタァと笑う。こういうときの総悟は黒いことを想像しているに違いない。姿が見えない土方さんに心の中で冥福を祈った。
「…総悟、黒いオーラが出てるよ」
「おっといけねェや。うっかりしてやした」
「ねぇ、わたしこれから出かけるけど総悟どうすんの?」
やっぱサボんの?というニュアンスを混ぜて聞いた。いつもサボッてるようなもんだから、大して問題がないような気がする。
「見廻りついでにと一緒に行きますか」
きっと帰ったときには土方さんの怒鳴り声が駐屯所に響くんだろうなぁ、と苦笑した。ささやかなお土産にマヨネーズと煙草でも買ってきてあげようと思った。
「で、何処に行くんですかィ?」
「ん?あぁ、新しい着物も欲しいし、あと修理に出してた剣を取りに行こうかなぁ、って」
「それなら俺が見立ててあげまさァ」
総悟の趣味が良いのか悪いのか、愛用のアイマスクを見るとなんともいえない。だけど、選んでくれるって言う総悟が楽しそうに笑うからわたしもつられて笑った。総悟が朝食を食べている間に着替えて、かんざしなんかをつけてみたり。いつもはしないようなことをして、二人で出かけた。二人で出かけるなんて、初めてじゃないのになぜか心臓が音を立てている。それはきっと、いつもは隊服だから、とか、着物を着てかんざしを差してまるで普通の女の子みたいにしているからだと言い聞かせた。

(隣を歩く総悟を見上げて、思ったことは )


これが恋の始まりって


ヤツ?


(060807)