「どう し て …?」
目の前のあなたは不似合いな血を浴びて、剣先から滴り落ちる赤色は独特の鉄のにおいがする
手を伸ばしてあなたに近づくと、あなたは一歩引いて 悲しそうに笑う
「いや だ」
崩れるように座り込み、涙が溢れて 肩で息をする
愛しくて 狂おしくて 切なくて 張り裂けそうで 押しつぶされそうな感覚がわたしを支配する
「総悟ォォォ!!テメェ、表へ出ろォォッ!!!」
遠くから聞こえるトシさんの怒鳴り声
見渡せばわたしの部屋の布団の中にいた
…夢、か
嫌な汗が背中をツゥと通った 額も濡れている 睫毛も、濡れていた
きっと酷い顔をしている、顔を洗って 着替えた
太陽は高い位置に来ている
今、会ったら泣きそうだ
起きたばかりなのに、あの嫌な夢のせいでもやもやして晴れない
何か、心に引っかかってぽっかり穴が開いて それしか考えられない
あなたが死んでしまう夢を、何度も、何度も、見ました。
聞こえてくる爆音も、トシさんの声すら遠く遠く霧がかかったように まるで違う世界みたいに
「辛気臭せェ」
総悟が言った
わたしが向いている方向とは逆、つまり彼はわたしの後ろにいて、バズーカを抱えている
「トシさんと遊んでたんじゃないの?」
トシさん的には遊びじゃないけど、総悟的には遊びだ
「が、」
きょとん、と一瞬止まって 視線だけ 沈黙が訪れた
綺麗な髪も瞳も、すべて 血色に染まって 君は悲しそうに笑うんだ
フラッシュバック、わたしは一歩引いて俯いた
「が消えそうだったんで、確かめに来たんでさァ」
「消えそう?」
消えそうなのは、あなたでしょう
「いつから俺に何も言わなくなったんだろなァ」
「総悟は、どこにもいかない?」
わたしを独りにしない? 暗闇に消えていかない? いつも側にいる?
「俺ァ、好きなやつを泣かせるほど腐っていやせんぜ」
総悟の匂いがわたしを包んで、軋むくらいに抱きしめた
融けて 沈んで 消える
(夢は話せば正夢にはならないよね?)