夜、部屋を抜け出して月と星の明かりだけを頼りに庭を散策するのが好きだ

 その日も雲一つ無くて、星が綺麗に瞬いていた

 私は誘われるようにベッドを抜け出した

 月は満月より少し欠けていて、冷たい風が心地よかった

 薄い夜着の上に長袖を羽織って、庭先にしゃがみ込んで空を眺めた

 呼吸が、うまくできなくなる 大きく息を吸う 肩で呼吸をするみたいに

 苦しくて視界が滲む 月がぼやけて見える

 体重を木に預けて、胸を掴むように握り締めて苦しさに藻掻くしかない

 「大きく息を吸っちゃだめだ、楽にして 大丈夫だから」

 遠のく意識、開かない瞼、感じる体温

 「俺がいる、は一人じゃない」

 頭を撫でられている感触がする、もう一つの手は背中に回り体重を支えながらトントン、と軽く叩く

 温かさで包まれているのは分かるのに、闇が手招きして手を喉元に持っていく

 苦しくて苦しくて、呼吸の仕方が分からない

 「ゆっくり息をしてみて そう、ゆっくり」

 意識を取り戻したとき、私は自分の寝室で寝ていた

 あの天蓋付きの大きなベッドに一人で

 心細くて、部屋を見渡す 誰もいない

 ふと掛けられていた物に視線を落とす、この上着は…

 「コンラート…?」

 幾つか年上のあの星空みたいな瞳をした、従兄の名前を呟いた

 コンラートが運んでくれたのかな、あぁ、自己嫌悪

 あんなところを見られるなんて

 ぎゅうっとコンラートの匂いがする上着を抱きしめて、私はもう一度眠りについた