質問攻めにあう前に、ギーゼラに話があるので、と執務室を後にした

 執務室はまだギャアギャア五月蠅かったけど、私だって怒ってるんだ

 …逆ギレだけど、何も言ってくれないグウェンダルのことを思うと切なくて涙が出てくる

 トボトボと私の癒しのギーゼラを求めて、長い廊下を歩く

 なぜアニシナじゃないかというと、きっとまた何かおかしなモノを発明しているだろうし、

 はきはきした物言いの彼女にうまく丸め込められそうな、そんな気がしたからだ

 「あら、アニシナと一緒じゃなかったの?」

 白と緑のギーゼラ

 首を傾げて近づいてくるギーゼラを見たら、視界が歪んだ

 ようするに、涙が出てきてしまった

 「…ぎぃぜらぁ」

 「何があったの?話さないと分からないわ」

 ギーゼラは私の頭を撫でて、目線を合わせるように膝を折った

 私より少し年上のギーゼラとは姉妹のように育った

 そのせいもあるかも知れないけどギーゼラと一緒にいるといつも甘えてしまう

 「あの、ね…」

 「」 

 ギーゼラはふんわりと微笑んで

 「そういうことは、私に言うべきことかしら?」

 そう問いかけた

 「の気持ちを伝えたい人に言わないと、何も変わらないわ」

 年甲斐もなく涙ぐんでいる私を諭すように優しく、そう問いかけた

 「とりあえず、私の部屋に行きましょうか」

 歩くように促されて血盟城で宛われているギーゼラの自室へ向かった

 「ごめん、ギーゼラ仕事中だった?」

 「一段落ついたところなの、休憩を入れようと思ってたから丁度よかったわ」

 部屋の奥からクッキーと私の好きな紅茶が用意された

 「私ってだめだなぁ…」

 「弱気なのね」

 「だって、いつまで経っても何も言えないしさ、ずっと前から何も変わらないんだもん…」

 「それはお互い様だと思うけど」

 「ギーゼラ好きな人いるの?」

 そう言うとギーゼラは薄く笑って紅茶を口に含んだ

 「言わなければ何も伝わらない、後悔をしたくないなら言うべきだと私は思うけど」

 「そ、それが出来てたら苦労してないってば」

 「よーく考えてみて、彼もいい大人なんだからいつ結婚しても可笑しくないのよ」

 「うん…」

 「告白もしてないのに、彼が結婚することになったら何も言えないままよ」

 「ギーゼラ」

 「ん?」

 「頑張ってみます」

 拳を強く握って、ギーゼラに宣言した

 何も言わないままで終わるなんて、そんなのヤだ

 それ以前に、グウェンが誰かと結婚するなんて!考えただけでも頭が真っ白になる

 「善は急げって言うでしょ、言ってきなさい」

 「でも急がば回れとも言うよ」

 「どれだけ回り道したのよ…」

 「…行ってきまーす」

 「いってらっしゃい」

 自棄酒みたく紅茶を一気に流し込んだら熱くて軽く火傷をしちゃったみたいだった

 ギーゼラの部屋から執務室までの道のりを逆戻りする

 うぅ、お腹が痛いです…

 なんて言えばいいの?単刀直入に「好きです」とか…?なんか、今更だな

 悶々と考えているうちに、執務室まで来てしまった

 この扉を開けるのが怖いっ!

 「うあぁ!?」

 フゴという鈍い音と痛みが走って思わず一歩後退した

 涙目になりながらその先を見つめると案の定というか、なんというか噂の彼で

 「グ、グウェン…」

 「…すまない、大丈夫か」

 見開かれた目を見て彼が本当に驚いたことをさとる

 「大丈夫、うん。あれ?もしかしてみんないない?」

 ドアの先の執務には人影が見あたらない

 「休憩、だそうだ」

 「あのね‥!ちょっといいかな」

 「あぁ」

 執務室に入るように促されてドアを閉めた

 目の前に座っているグウェンを見ると決心が鈍りそうになる…

 「えっと、話があって」

 「そう言えば結婚するとか言っていたな」

 「え?あぁ、そのことでちょっと…」

 ア、アニシナが余計なこと言うから!誤解されてるじゃない

 「あのね、あれはなんていうか、ものの弾みというかなんていうか」

 「分かったから、ひとまず落ち着け」

 大きく息を吸って吐いて

 「あれはアニシナがついた嘘…と申しますか…」

 グウェンの眉間に深く刻まれる皺を見て語尾が小さくなる

 「私、グウェンのことが好きなの」

 意を決して言ったのに、グウェンと来たら時間が止まったように固まってしまった

 何も言わないグウェンを見て、やっぱりヤバかったかなと思い始める、うぅ、胃が痛いー

 「あの…、グウェン…?」

 目の前で手をヒラヒラ振るとグウェンはハッと気がついたように私を凝視した

 「それは、どんな冗談だ…?」

 次に固まったのは私だった