「まぁ!あなたは何年間片思いをすれば気が済むのですか?」
呆れたように溜息をつかれた
綺麗な顔を歪ませて、腰に両手を付けて、まさに仁王立ち
「私はとっくの昔に告白をしたのだと思っていたのですが」
対する私はアニシナの前で俯いている状態
主従関係がはっきりしている気がしてなりません
「大体、グウェンダルもグウェンダルです!男ならはっきりと…!」
「アニシナ!でも、グウェンは私のことなんてただの…」
「『ただの』なんですか?」
アニシナが怒って机をバシンッ!と叩くものだから紅茶が跳ねた
美人は怒っていても美人だ。
「た、ただの十貴族の一員とかしか、思ってないかな、なんて…」
予想を超えたアニシナの剣幕に私はたじたじである
内心「言わなきゃよかった」状態
どうして、こういう会話が繰り広げられているかと言うと「そう言えばアニシナは結婚しないの?」
という問いから話は発展していき、「あなた方は結婚はいつなのですか」これが決めてだ
そして冒頭に戻る
「グウェンダルが不甲斐ないのはいつものことですが、私も黙ってはおれません!」
グッ、と拳を握りしめて、目が怖いです
「!血盟城に行きますよ!」
「え、血盟城?ヴォルテール城ではなくて…?」
「ギュンターは陛下が居られても居られなくても使い物にならないそうですからね」
まったく、とでも言いたげだ。
「今から出発すれば日が暮れるまでには到着するでしょう」
パカラパカラと馬を走らせノンストップ。休憩なしで血盟城へ
血盟城についたときには腰が痛かった…
大股で前を歩くアニシナを追いかけている途中で気がついた
何をする気なの!?
も、も、も、もしかしなくても、グウェンダルに告白しろとかそういう展開…
無理!今までも無理だったのに、なにを今更って…
顔面蒼白の私に気がつくはずもなくアニシナは執務室へ足を進める
「グウェンダル!」
バーンッと勢いよくドアを開けて立つアニシナに殺気が漲っている気がしてなりません
「ア、ア、アニシナ!なぜ貴様がここに!?」
「今日はあなたにお知らせがあって参ったのです」
私はアニシナの影に隠れてもはや姿は見えてません
「えぇ、とても素晴らしいお知らせです」
執務室の奥では奇怪な音が聞こえてくる
「あぁ、陛下もギュンターもついでですし、お聞きになってください」
陛下がついで、とかどういう世の中ですか…
「この度めでたく結婚が決まりまして」
「えぇぇぇぇ!?ア、アニシナ結婚するの?」
双黒の魔王陛下が身を乗り出して聞いている
「いえ、私ではなくてです」
ぎょっとしてアニシナを見るとアニシナは私の腕を引っ張り自分の隣に立たせた
ぽかーんとしているのは、私だけではなくて執務室は静まりかえった
「ア、アニシナ!」
思わず声が裏返ってしまった
その声がアニシナの言葉を肯定しているように聞こえる
「今日はそのご挨拶をしに来たのですよ、では、私はこれで失礼」
硬直する一同(私を含めて)を置き去りにしてアニシナはさっさと執務室を後にした
「…さん結婚するんですか!?」
「!僕に何も言わずに結婚を決めるとは!相手はどこの誰なんだ!」
「わ、私は何も聞いておりません…!小さいときには私と結婚するとまで言ったが…!」
「いや、も年頃だしね。男も放って置かないだろうな」
上から陛下、ヴォルフラム、ギュンター、コンラート
何か言って欲しい相手に限って何も言ってくれない。
グウェンダルは黙ってこっちすら見ずに書類と睨めっこだ
その様子がなんだか無性に腹立たしくて、ついうっかりこう言ってしまったのだ
「えぇ、まぁ」
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