涙が出そうだった。

 空を見上げれば星がたくさん輝いていて、

 別に星が綺麗で涙がでそうだった訳じゃない。

 ただ、君に会ったから 突然に君に会ったから

 久しぶりに見た君はあの時から背も伸びていて、でも相変わらずの姿で

 そして、白いボールを一生懸命に追いかけていた



 直視することなんて出来なかった。

 目で追うことしかできなかったあの頃とは違って、君も私も大人に近づいた

 私が君を見ていたその事実に気付いて欲しくなくて

 急いで目をそらして家路を急いだ。

 なんだか、心は切なくて、そして無性に涙が出そうになった。

 どうしてだか、分からないけれど。



 自分の部屋のドアを開けて、鏡を見れば泣きそうな自分がいて

 制服を脱いでベッドに沈んだ。

 心臓はまだ、五月蠅く鳴っている。 私の心とはまるで正反対のように。



 中学を卒業して、私は女子校に進んだ。

 そしたらもちろん彼とは離れるわけだけど、その時は特別何も思わなかった。

 好き、だとかそんな風に思ったことは無かった。

 ただお互いに意識しあうようになって、だんだん話さなくなっていった。

 それは当然のことだったし、悲しいなんて感情は無かった。

 でも、少し寂しかったかもしれない。

 小さい頃から一緒にいても時には、逆らえない。










 「…?」

 走り去ったあとのグラウンドで有利のそんな声が響いたなんて、私は知らない。