「なんで…!?」
吠えメールを目前にしては狼狽した。そりゃそうだ。普通、吠えメールっていうのは説教とか一般的にそういうもんに使われる。アイツは思い当たる節がないのだろう。いつものからは想像が付かないほど、顔は青白くて 吠えメールを見つめる目は怯えきっている。
「誰から…?」
リリーが遠慮がちに問うと、は吠えメールを裏返し宛名を見る。その手は少し震えていた。
「…Groβmutter?」
聴きなれない言葉にみんなを凝視する。だけど、は俺らの様子に気づくほど余裕がなくてそのまま手紙を開ける。
「えっと…、
Guten Tag. Wie geht es ihnen? あ、うん、元気元気。
Weil Sie hinaus sind, bin ich einsam.  う…、ごめんなさい…
Ich freue mich darauf, Sie zu treffen.  …はい
Ist, du verstehst? Ja…、Ja…」
が読み終わるとその手紙はアイツの手からパッと離れ、そして燃えて灰になった。の家のフクロウは褒めてもらいたいのか「ホォー」と鳴いての指をあまがみしている。黒と白の混ざったフクロウはに褒められてうれしかったのか、もう一度鳴くと彼女の周りを飛んでいる。その間は何かを考えるように、灰になった手紙をぼんやり眺めている。

「えっと、?一体なんだったの?」
リリーが聞くとはフクロウを撫でながらへにゃと笑った。
「あー…、おばあちゃんからだったの。簡単に言うとたまには帰って来い、って感じ?」
あはは、と渇いた笑いが談話室に広がる。
「吠えメールに在って吠えメールに有らず、だね。結果オーライ?」
「オーライ! なんだけど、ドイツまで行くのめんどいなー…」
「おばあちゃんはドイツ人?」
「うん。お父さんがドイツ人でお母さんが日本人なの。」
だから既にドイツ語と日本語と英語の三ヶ国語話せるんだよー、すごいでしょ?とは自慢げだ。だからの英語は少し変なのか、と俺は妙に納得した。未だにレポートで綴り間違って赤で修正されてるもんな、コイツ…
初めて聞くネージュ自身のことに半分驚きながら、半分イライラした。6年間も一緒に居たのに知らなかった。リーマスは知っていたのだろうか。だけど、リーマスを盗み見てもその真意は分からない。
「でも、うー… おばあちゃんに会う分にはいいんだけど…」
「何か問題があるの?」
「あー… 多分8割方 お見合いの話だと思うんだよねー…」
ジェームズは飲んでいた紅茶を吐き出して、リリーに白い目で見られている。流石にリーマスもビビッたのかを凝視。ピーターなんか絶句だ。俺は胸の奥が痛むのを知らないふりをした。
「お見合い!?」
の自称兄!と公言しているジェームズはものすごい形相でに質問している。
「ほら、昔の人って結婚早いでしょ?おばあちゃんも18で結婚して19でお父さん生んだらしくて。私まだ16なんだけどなー」
のほほん、と応えるにジェームズは額を押さえながら「ジーザス!」と叫んでいる。談話室にいるのは俺らだけじゃないんだが。
俺はアイツの口から出た「結婚」という言葉に少しだけ鼓動が早くなるのを感じた。
「っていうか、私 結婚しない予定なんだけどな」
「そうだよ!君はいつまでも純粋なままでいてくれ!」
ジェームズがの肩を掴みながら必死に訴えている。…ジェームズはいつからの保護者になったんだ?
「いや、その前にお前相手がいねーだろ?」
「…ジェームズ!シリウスがいじめる!」
「こら!君はになんてことを言うんだ!は赤ちゃんはコウノトリが運んでくるって信じてるんだぞ!?」
それはそれで問題があると思うのは俺だけなのか。
「うーん、結婚はしなくてもいいけど赤ちゃんは欲しいなー」
二度目の爆弾発言に談話室が揺れた。




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